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竹内里枝 様
元NHKキャスター 登録日本語教員
日本語教師として留学生を支援するかたわら、フリーアナウンサーや防災士としての一面も持つ竹内様。多方面で活躍する竹内さんが外国人雇用労務士(以下、外労士)を取得するに至った経緯や今後の展望についてお話を伺いました。

▼この記事から分かること

✅ フリーアナウンサーから日本語教師、そして外労士取得へと広がるキャリアパス
✅ 日本語教育の現場で実感した「制度を伝える力」の必要性
✅ 外労士と日本語教育能力検定の相互補完性と、学習・受験の具体的な工夫
✅ 留学生・技能実習生への進路アドバイスや不許可リスクへの制度的サポート
✅ 外国人支援における発信活動と、今後のセミナー登壇

ー現在のご職業と外国人雇用の現場で働くようになったきっかけを教えてください。

 私はもともとNHK岐阜・名古屋でキャスターをしていました。その後、夫の転勤を機に海外で暮らすことになり、インド、シンガポール、ミャンマーに滞在しました。  現地では、子育てを しながらライターやレポーターをしていました。 

 外国人雇用に関するお仕事に携わるようになったきっかけは、インドに滞在したころに現地の方に日本語を教えるボランティア活動に参加したことです。そこから日本で働きたい外国人の方を支援することに関心を持ち、ミャンマーでは送り出し機関で日本語を教えていました。海外での経験から、やはり日本でも外国人の方の支援を続けたいと思い、現在は日本で日本語教師を続けています。

― 外労士を知ったきっかけと、取得に至った背景を教えてください。

 ミャンマーでは日本語教師として教える一方で、送り出し機関で働く日本人スタッフや、ミャンマー人の若者たちが在留資格の書類をやり取りする様子を間近で見てきました。私はあくまで日本語教師という立場だったので現場に踏み込みすぎないようにしていましたが、日々のやり取りを見ていると、制度や手続きの全体像をきちんと学ぶ必要性を強く感じるようになりました。

 外労士を知ったきっかけは、知人からのすすめです。日本語教師として教えるだけでなく、留学生や若い労働者が日本でこれからどう生きるのかを考えたとき、在留資格や労務の基礎を体系的に知っておくべきだと思いました。学び始めてからは、自分が現場で見てきた点と点が繋がりました。私はどの辺りをどうサポートしていたのか、制度上どこがボトルネックになるのか…全体像がやっと掴めた感覚があります。

― 試験勉強はどのように進められましたか?

 公認テキストを購入して、こちらを中心に学習しました。しかしながら、公認テキストを読むだけだと眠くなるタイプなので、直前対策動画にはとても助けられました。動画を見て、分からなかった箇所は公認テキストで確認し、付箋を貼って重点的に復習する、という方法が自分には合っていたようです。 学習期間はだいたい4〜5か月。すきま時間にコツコツ進めました。

―外労士試験は出題範囲が広いですが、特に得意だった分野や苦手だった分野はありますか?

 在留資格や入管法に関する内容については、自信をもって答えることができました。というのも、私が以前受けた日本語教育能力検定や、登録日本語教師試験でも同様の内容が試験範囲になっていたので、その時に学んだ知識を活かすことができたんです。これらの試験に既に合格されている方は外労士に挑戦しやすいと思いますし、逆に、外労士を取得した後にこれらの試験に臨むと、該当分野の得点は取りやすいと感じます

― 資格を取得して、実務でどのように役立っていますか?

 外労士の学びを通じて、日本語教師としての支援の幅が大きく広がったと実感しています。特に、留学生や若年層の外国人に対して、将来の選択肢をより具体的に示せるようになったことは、大きな変化でした。

 たとえば、日本に長く滞在するためには「就職」「結婚」「特定技能による在留」など、現実的な選択肢が限られています。それぞれのルートに必要な条件や、準備の流れについて、制度に基づいて分かりやすく伝えられるようになりました。

 また、申請書類の整合性も重要なポイントです。履歴書と申請内容に矛盾があると、それだけで不許可になることもあります。以前は理由が分からずモヤモヤしていたことも、制度を学んだことで「なぜダメだったのか」が明確になり、納得できるようになりました。外労士の資格を取得したことで、より的確で根拠のある支援ができていると感じています。

 日々の授業では、日本語能力試験(JLPT)の重要性についても、制度と関連づけながら伝えています。「N4を取得すれば特定技能への移行が可能」「N2やN1を持っていれば就職や在留に有利」など、制度に基づいた情報を加えることで、学生たちの理解も深まっています。

 このように、外労士としての知識は、日本語教師としての進路指導や学習支援と密接に結びついており、現場で確かな手応えを感じながら活用しています。

― 現場での具体的な課題などはありますか。

 技能実習・特定技能の現場では、感情的に動いて「嫌なら逃げる」という選択をしてしまう若者がいることについて、以前より課題意識を持っていました。しかし、外労士の学びを通して「一度帰国して仕切り直し、日本に再入国する」という合法的な選択肢があり得ることを知りました。
日本語での説明が難しいテーマですが、「やり直せる道がある」ことを優しい日本語で伝える。これが失踪や不法就労の抑制につながると信じています。

 また、私は防災士の資格も持っているので、日本にいる外国人が被災した際の支援についても注力していきたいです。震災時に難しい防災用語をやさしい日本語で伝える力は、自然にできることではないのですが、多くの人に広まってほしいと願っています。

― 今後の展望について教えてください。

 先日、企業様から「外国人がどう日本語を習得していくか」について講演のご依頼をいただきました。冒頭で、外国人の人口や就労者数、在留資格の種類と就労の実態、そして日本語習得のルートを、制度的な裏付けとともにお話しする予定です。
フリーアナウンサーで日本語教師、かつ制度知識まで語れる人は多くないはず。「外国人支援に強いフリーアナウンサー」というポジションを確立したいという思いがあります。もしセミナーなどに登壇する機会があれば、制度と現場をつなぐ視点でお話ししたいです。

竹内様、ありがとうございました。

日本語教師、フリーアナウンサー、防災士、と多方面で活躍する竹内様ならではの考えやご経験はとても興味深いものでした。今後のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

記事のまとめ

✅ 外労士を学ぶことで、日本語教師としての支援が「制度面」から強化された
✅ 学生に進路の選択肢や申請の注意点を具体的に伝えられるようになった
✅ 現場で直面する「失踪」や「不法就労」の背景に寄り添い、制度を用いた「やり直しの道」も提示可能に
✅ 「外国人支援に強いフリーアナウンサー」という新たな立ち位置から、制度の正しい理解を地域や社会に発信する取り組みが始まっている

■竹内様が所属する会社

株式会社オリズボイスステーション 

所在地:愛知県名古屋市中区新栄2-10-8ユーハウス新栄東館602号     連絡先:052-251-2328

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